せとうちMeetup Vol.4:「せとうちワークスタイル」_開催レポート

せとうちMeetup Vol.4:「せとうちワークスタイル」_開催レポート


 2020年8月1日(土)20時より、「せとうちMeet up Vol.4」を開催しました。「せとうち」をキーワードに、様々なエリアの方々との新しい繋がりを織り上げていく、「せとうちMeetup」。今回のテーマは「せとうちワークスタイル」。新型コロナウイルス感染症の影響により、半ば強制的にもたらされたリモートワーク等、様々な試行錯誤の中、大きな変革が起きようとしている私たちの働き方。この「新しい働き方」が、せとうちに関わる働き方に与える影響について、オンラインでの対話を重ねながら、瀬戸内と様々なエリアやセクターを繋いでいくオンラインセッションとなりました。

イントロダクション、チェックイン

 簡単な趣旨説明の後、自己紹介を兼ねて参加者の方から近況のシェア。今回も情報技術、地域振興、事業支援、通信、鉄道、文化交流、農業、教育等、様々な分野から17名の方に御参加いただきました。参加者の方からの近況紹介でも、コロナ禍で往来の自粛が求められる中、オンライン等、故郷と繋がる機会を何とかして得ようとされていることや、自分の働き方をウィズコロナの状況に適応させるために様々な試行をされていることなどが紹介され、「せとうち」「働き方(ワークスタイル)」といった今回のテーマに高い関心を持たれていることが伺えました。

フリートーク1:「働く」ことは、自分にとってどういうことか考えてみる。

 続いて、テーマに沿ったフリートーク。まず、自分にとって「働く」とはどういうことなのか、漠然とした問いではありますが、参加者の皆さん、様々な思いを持っておられて、いろいろとお話しいただきました。

・自分は何者であるかを説明するときのとても大きな要素。

・人生の中の一つのページであり、あって当たり前のもの。

・長年、働いてきて、その中では、やらされ感満載の仕事もあったし、とてもやりがいを持って仕事をしていた時期もあった。仕事をしていく上には思い通りにいかないこともあるが、趣味だけの世は物足りない。元気のあるうちは働きたい。

・自分の役割を見つけて、何かを作り出す。私ができることで、人の役に立つことを淡々と片付けていくのが、私にとっては働くということ。

・都会から地方に移住してきたが、田舎で子育てがしたいというのが移住した目的だった。 都会にいる時のスキルで仕事を得ていたが、コロナ禍の影響で、これまでの仕事を考え直さなければならない状況になっている。経済的な成果や長時間労働が称賛された昭和の評価軸が変わってきている。働くことについての大企業の勝ちセオリーが通用しない。人が本来持っている力で、どれだけ人のためになるかが働くことについての新しい評価軸になっていくと思う。評価軸が変われば、仕事の内容や在り方も変わってくる。ジョブチェンジ。これまで通用していたスキルが通用しなくなる。移住や定年のタイミングでジョブチェンジが起こることは想像できるが、コロナ禍の影響で、世の中みんながジョブチェンジのような状況にもなりえると思う。

・若い時は自分のため、年取ってからは家族や地域のために働いている。これからの働き方は、自分の好きなこと・やりたいことで働くという方向になってほしい。

・働かざる者、食うべからずとよく言うが、人として、元気なうちは働いた方がよいと思う。働くことができるのは、それだけ身体も心も元気な証拠。

・働くことは、生きがいであり、自分が社会にどう役に立っているかを確認する手段でもある。

働くことを、アイデンティティにも関わる大きな要素という方もいれば、人生の一ページであり当たり前に存在するものというように自然体でとらえている方もいて、思いは様々ですね。働くための考え方やスキルが変わってきていて、働くことに係る評価基準が、経済的な成果や労働時間ではなく、より人の為になっていたり感謝されたりといった情緒的な指標や成果に変わっていくのではないかといったこと、あと、心と体が動くうちは働き続けてたいという意見が多かったですね。

フリートーク2:せとうち「で」働く。せとうち「と」働く。

 次に、せとうち「で」働くことと、せとうち「と」働くことについて、参加者の皆さんとフリートーク。「で」と「と」では、時間的、空間的な捉え方が変わってきますよね。

・コロナ禍の影響で来店対応が難しくなり、オンラインでの対応を始めた。そうすると、オンラインでの新しい繋がりが増えた。オンラインでの顧客対応を取り入れてみて、具体的なイメージがあるわけではないが、今後、新しく何かができるかもしれないと思うようになった。

・故郷の瀬戸内を長く離れていて、どのように関わることができるのかわからない。東京にいると物事の動きが目まぐるしく、穏やかさがない。

・「せとうち」には、押しつけではなく、淡々とした優しさがある。「せとうち」の空気・時間の流れが押し付けでない自然な優しさを育んでいる。空気の流れや時間の流れが違う!魅力的ですね。

・数年前に東京から神石高原に移住し、今は神石高原と福山の2拠点生活。移住後の暮らしがすべて順調だったわけではないが、いろいろな要素を考えると移住してよかったと思う。神石高原でアスパラを作り、人口の多い福山で売る。収穫してすぐ売ることができるのは福山であり、生活を成り立たせるためにも2拠点を頻繁に往来することは必要。東京では仕事と生活は別々のものだったが、今は仕事と生活が一緒になっている。地方では単業が少なく、パラレルワークが割と一般的。

・瀬戸内は交通の便がよい。福山に住んでいたが、朝早く動けば、7時台の広島空港発東京行きの便に間に合い、羽田空港に8時台について動ける。瀬戸内は、関東・関西にも程よい距離にあり、ロケーションも良いと思う、

・都会の人間は、みかんが枝についてるのを見るだけで、癒しを感じたり、刺激を受ける。都市と地方で助け合える可能性を探りたい。

フリートーク3:日本総研の藻谷浩介さん登場

 ここで、日本総研の藻谷浩介さんが、突然、さりげなく登場。

藻谷浩介氏

 まずは、参加者からのリクエストを受け、藻谷さんの新型コロナウイルス感染症の現状分析から。
・感染者は増えているが、重症化率や死亡率は、コロナの第1派や欧米諸国に比べると、低い水準を維持できている。
・ただ、高齢者や基礎疾患を持つ人が感染すると大変危険な感染症であることに変わりはない。
→リスクを正確に捉え、正しく恐れ、油断しないで正しく対応していくことが大事とのことでした。

 また、これまでの働き方についての対話の内容を踏まえ、成長神話や長時間労働といった、これまでの働き方の価値観は、今後は変わっていかざるを得ないとのことでした。御自身の瀬戸内と東京との2拠点生活・リモートワークのことにも触れられ、瀬戸内にいると癒されて、結局、仕事は思うように進まなかったとのことで、参加者から笑いが起こっていました。

「はたらく」「くらす」が、「かけがえのない人生」につながっていくには?

藻谷さんからの話題提供を受けてのフリートーク。
参加者の方からは、

・日本とニュージーランドで生活しているが、NZはのんびりしていて仕事のペースものんびりになる。

・オンラインで仕事ができる環境が随分整備されたので、必ずしも東京にいる必要はない。

・ただ、オンラインだけだと、表情、雰囲気がつかみにくくコミュニケーションが取りにくい。オンラインの限界もある。

・今は、地方や地域の人の方が、いろいろと動きやすいのは確か。

・都市と田舎のパラレルワーク、暮らしと仕事がシームレスに繋がる生き方が実現できたらいいな。

などといった御意見が寄せられました。

クロージング:参加者の思いを共有

 最後に、対話の内容について、参加者それぞれの思いや気づきを全体で共有しました。

・都会と瀬戸内では、時間の流れが違う。瀬戸内の穏やかな時間の流れはどう育まれるのか。時間の流れや雰囲気の穏やかさと食物や農作物を自ら作る、またはそうした仕事が身近にある生活というのは、相関関係があると思う。

・効率や経済的利益を訴求する働き方から、情緒的な満足感や幸福感を訴求する働き方へシフトするにはどうすればよいのか考えていきたい。

・東京は離れたい、ローカルが元気になる可能性は大いにある。

・競い合いから調和へ、大事にされる価値観がシフトしていくと思う。

・リモートワークには、可能性も限界もある。医療や教育、対人支援職の働き方など、リモートワークに適さない業種の働き方も気になる。

・一日も早くコロナが落ち着き、安心して故郷の瀬戸内に帰られるようになってほしい。

・「せとうち」との様々な関わり方を模索していきたい。農業がキーになりそうな気がしている。

・共感の多いセッションだった。関わる人々のwellbeingを高められるように、オンラインとオフラインの融合していく。バランスがいいのはどのあたりか模索が続く。

・他拠点居住に興味がある。ソロワークはオンラインでもできる環境が整っているが、チームワークを伴うオンラインワークができるインフラ整備を「せとうち」でも進めていけるとよい。

・コロナ禍の影響は、都市と地方で随分異なっている。コロナ禍でも地方・農村はあまり影響を受けていない。だから意識も変わっていない。都会の人との意識のギャップは著しい。そのギャップを放置したままで、上から目線で、都会から地方に来ても、なかなか動きにくいと思う。移って来られる方が動きやすくなるためにも、都会と地方・農村の価値感の擦り合わせが必要。

・例えば、半定住というか、数週間から数か月お試しで移住してみるとか、地方側にバッファーゾーンを設けて価値観の擦り合わせをするとか、そうした取組があればよいと思う。都市と農村の間にある地方都市がバッファーゾーンの役割を果たせないか。移住は多層的に進む。様々なエリアやセクターを人々が出入りできるように、出口が循環していることがよい。

以上のような参加者の思いや気づきを共有し、Meet upを終えました。

 私たちは、人生のうちの、すべてではないですが、多くの時間を働くことに費やします。「働くこと」や「働き方」をできるだけ有意義なものにしたいと思いますし、経済的な尺度以外にも、例えば、感謝、満足感、幸福感といった情緒的な尺度でも自分の「働き方」を評価したいと、私自身も、参加者の方も同じ思いを持たれていると感じました。

 また、関東や関西といった大都市圏との丁度良い距離間や、穏やかな時間の流れや雰囲気を育むこの地域の風情といった、「せとうち」の魅力について、多くの参加者の方々が話されるのを聞いて、エリアとしての「せとうち」の魅力を改めて認識できたmeet upとなりました。

あとがき

 今回のmeet upでは、小さなお子さんを膝に載せて御参加いただいた方もいらっしゃいました。子育て中の大事な時間を使ってmeet upに御参加いただいたこともうれしかったですし、他の参加者の方も暖かい雰囲気でもってmeet upを支えていただいたと思っています。今後も多様な方に御参加いただけるmeet upであり続けたいです。

ライター:一般社団法人Weave 監事 岡本耕治

 次回のMeet up は、8/22(土)14時よりスタート。シーズン1の最終回として、Weaveの拠点がある広島県福山市の古くからの商店街「とおりまち」をブラ歩いて行きたいと思います。Weaveの拠点でもあり、「まちの中にあるフューチャーセンター」「まちの中の実験場」としてオープンした「Oru」は、このとおりまちのすぐ横にあります。この「とおりまち」をブラ歩きながら、まちの変遷とこれからの活性化を考え、そのまちに中にある「新たなサードプレイスのあり方とその役割」についても話し合っていければと思います。
ぜひご参加ください。