ニッチでスモールな事業環境を考える、ゆるい雑談会 Vol.1_開催レポート

ニッチでスモールな事業環境を考える、ゆるい雑談会 Vol.1_開催レポート


2020年12月23日(水)20時より、「ニッチでスモールな事業環境を考える、ゆるい雑談会 Vol.1」を開催しました。コロナ禍の影響など、私たちの生活が様々な変化に見舞われる中、その変化に適応し、日々の生活を豊かにするための、身近にあるニッチでスモールなサービスやサポートについて、ゲストの事業活動の話題をベースに、ゆるーく話し合いました。

イントロダクション、ゲスト紹介、チェックイン

【ゲスト紹介】
今回のゲストは、珪藻土の施工を中心に活動されている菊地永史さん。
一般企業で約20年営業職をしたあと、フリーランスに転身。現在は、珪藻土屋さんがメイン。他にも、居住支援のNPO、店舗のディスプレイ関連の仕事をしながら、福山駅前の様々な取組、地域の関係づくりの取組にも参加している。趣味は写真と書道とのこと。

【参加者のチェックイン】
Weaversメンバーを含め10名の方に御参加いただきました。複業に取り組まれている方、雑貨の輸出入で事業を進めている方、個人事業に興味がある方、小規模事業者の事業支援に取り組まれている方、マーケティングに従事されている方等々、それぞれの視点から、本雑談会のテーマに興味を持っていただき、御参加いただきました。

ゲスト(菊池さん)の事業のお話

・内装材としての珪藻土の施工をメインの事業としている。屋内の匂いと湿気の問題を解決する方法はいくつかあるが、その中でも古くからある自然素材を使いたいと考えた。素材もそれぞれ良さがあるが、自分が気に入った珪藻土をメインの取り扱いにしている。
・自分が施工するが、珪藻土施工の師匠に話を繋ぐこともある。依頼者本人から自分の家族や従業員と一緒に施工したいという要望にも対応。ワークショップのような形で施工することもあり、ちょっとしたチームビルディングにも活用できるのではないかと考えている。
・LWP(ローカルウォールプロジェクト)という取組を始めている。珪藻土に依頼者や地域にゆかりのある素材を混ぜて、独自の色・風合いを出していく取組。施工実績はまだ少ないが、ワイン工房の壁に原料のブドウの搾りかすを加工して混ぜた珪藻土を施工し好評を得た。高梁のベンガラではいい色が出た。ただ、うまくいく素材ばかりではないので、試行を続けている。やっていて、面白いと感じている。
・地域の定期市・マルシェにも出店していて、珪藻土施工の体験や消臭対策商品の物販をしている。そこに行けば菊池が居るという状況を作っておきたい。
・その他、店舗のディスプレイ関連の仕事も継続してやっている。あと、御縁があって週1程度で居住支援のNPOの仕事もしている。
・珪藻土とその他の副業も含めて、収支はトントンといったところ。

雑談タイム(ゲストのお話をベースに)

【Weaversメンバーより】
・自分の好きなこと興味があることを仕事にできているのは羨ましい。ただ、菊池さんが珪藻土以外にも副業の収益もあるので継続的に取り組めているところもあり、珪藻土だけで事業を成り立たせるにはいろいろな工夫が必要だと思う。
・素材や施工場所の「ストーリー」を大事にした事業展開を考えるとよいと思う。住宅であれば、「家族と一緒に育つ家」みたいなコンセプトで、依頼主の家族に一部を塗ってもらうとか、1年ごとに塗っていく箇所を設けて家族の成長と共に塗っていくとか、失敗があっても家族の良い思い出になる。また、季節ごとに塗っていくとか。そのたびに、依頼者と関わりを持てるので、その時その時の必要なニーズの受注機会になるかもしれない。店舗等であれば、顧客や従業員も巻き込んで壁塗りをすれば、この壁は自分が塗ったというストーリーができる。より、お店に思い入れを持ってもらえる取組になる。
・住宅向けに施工するのであれば、どういったタイミングで珪藻土の需要が起こるのかが大事だと思う。壁材の貼替だったり、籠った匂いが取れないといった悩みの解決策として提案できる。
・自分がしたいことを周囲に言いまくったらよい。やりたいことを発信するのも大事。うまくいったことばかりでなく、困っていることや失敗したこともSNS等で発信していると、興味のある人が集まるようになる。最初から、お金にしようとしないこと。まずは楽しみながら取り組むことが大事。商店街の興味のある人で、いろんな素材でどんな色が出るか遊んでみませんかといった感じとか。楽しいし面白い取組と認められれば、自然とお金を出そうという人も現れてくる。

【ゲスト(菊池さん)より】
・当初は、住宅施工の依頼を主に考えていたが、におい対策には様々な業種でニーズがあり、お店や事業所への施工も行っている。保育所や介護等の福祉施設からの依頼もある。福祉施設は、以前、地域との関係づくりを手伝った縁でお話をいただいた。新設する施設の壁に珪藻土を施工する際に、地域の方々を招いて、簡単なワークショップのような形で一緒に壁塗りをしてもらった。新しい福祉施設が突然できるのではなく、地域の人にも手伝ってもらうことで関心を持ってもらい、良好な関係性を築く一助となったと思っている。
・LWP(ローカルウォールプロジェクト)とか、何を混ぜるとどんな色が出るか、素材の事を考えるのは面白いが、その部分は、まだ大きな収益には結びついていない。
・依頼主の思いの入ったもの、生産工程で生じる廃棄物などを壁材の素材として活かし、依頼主の店舗や事業所の独自の色を出していきたい。そういったところで価値を生み出していきたい。
・ストーリーを意識した取組は興味がある。そうした取組、プロジェクト、事業のイメージを語ることはできるが、具体的に文章にしたり形にすることが一人では上手くまとめられない。サービスをパッケージ化したり,営業する際の提案書を作るスキルがないので、その辺りで誰かの力を借りられると助かる。

あとがき

 ゲストを含めた参加者の皆さんの御協力で第1回の雑談会を実施することができました。ありがとうございました。前半の事業紹介も良かったのですが、後半の雑談タイムの中で、ちょっとした質問から話が拡がり、ゲストの取組の詳細や困りごとが出てきて、それにまつわるいろいろな提案が出るなど、いい感じの面白い雑談に発展していきました。ゲストの取組に係る困りごとやその改善策に関わる対話をより深めたり、よりビジネス視点の話を増やしたりなど、雑談会のコンセプトの調整をしていきながら,この雑談会を続けていきたいです。
 今後も,よろしくお願いいたします。

一般社団法人Weave 監事 岡本 耕治