【開催レポート】神石高原ワーケーション×せとうちMeet up  子どもたちが誇れるふるさとをつくりたい ~皆伐の森を蜜源の森に~(6/21開催)

【開催レポート】神石高原ワーケーション×せとうちMeet up  子どもたちが誇れるふるさとをつくりたい ~皆伐の森を蜜源の森に~(6/21開催)


ワーケーションにふさわしい町、神石高原町。町内の様々な活動や課題を、里山資本主義の生みの親である藻谷浩介さんにコメンテーターとして加わっていただき、みなさんと一緒に考え、ディスカッションするプレワーケーション・オンラインツアー第3回を2022年6月21日(火)に開催しました(主催:神石高原町 企画運営:NPO法人nina 一般社団法人Weave)。

平日の午後1時30分からの開催でしたが、全国各地から31名の参加がありました。

開催趣旨:

全国で行われている森林の皆伐の問題。そこには単純に「いい」「わるい」では言い尽くせない、中山間地域の課題があります。ご参加のみなさんと、その辺りを明らかにしながら、森の将来を考えていきました。

今回訪問したのは神石高原日本ミツバチ研究所。所長の東一史さんに日本ミツバチの養蜂や、皆伐の森を蜜源の森に変えていくプロジェクトについてお聞きしました。

▼「挑戦のまち」神石高原町

http://www.jinsekigun.jp/town/introduction/1/

▼神石高原日本ミツバチ研究所

https://www.facebook.com/8kenhgs

神石高原日本ミツバチ研究所の取り組みについて

小学校の教員だった東さんは、山の中の学校で子どもたちが胸をはって生きていくために、神石高原という地の自然環境の豊かさ、素晴らしさを伝えるきっかけとして日本ミツバチに着目。

日本ミツバチは野生のミツバチで、主に樹木の花の蜜を集めます。神石高原の豊かな山の樹木からミツバチたちが集めた蜜は「百花蜜(ひゃっかみつ)」と呼ばれ、無農薬・無添加・非加熱で自然の恵みそのもの。採取したハチミツを給食で皆で味わうことで、神石高原の環境が「宝の山」であることを子どもたちに伝えてきました。

10年前に教員を定年退職後、東さんは神石高原日本ミツバチ研究所を設立。日本ミツバチの養蜂を広めるとともに、皆伐されたまま放置された森に日本ミツバチが好む木を植え、年間を通して花の咲く「蜜源の森」として再生を図るプロジェクトに取り組んでいます。4月に行われた第1回目の植樹イベントは、予想以上の関心を集め、成功裏に終わりました。

東さんは「蜜源の森」づくりを通じて、最高の蜂蜜を作りたい。日本ミツバチを介して、神石高原町の人的交流魅力を発信して、過疎化を食い止めたいという思いがあります。また、この取り組みを点から面へと広げていきたいと考えています。

参加者とのディスカッション

今回のミートアップでは、日本ミツバチと西洋ミツバチの蜂蜜、養蜂の違いを東さんから解説していただきました。

さらに、下記の観点からディスカッションを行いました。

・日本各地の課題である皆伐後の森林の再生対策を考える。

そこで話された内容:

戦後、復興のために山の木を伐りだし、その後に針葉樹を植えてきた。70年ほどが経過し、木がその寿命を迎えつつある。需要の低迷や、森林関係の従事者の減少により手入れがされていない森は倒壊の危険もある。伐採をして、日本本来の広葉樹林を回復するには100年単位の時間がかかる。その間には、治水対策などの問題もある。それでは、同じように針葉樹の植林を繰り返すのか、その場合森の多様性は損なれる。また、花粉症の問題とも関わってくる。もう一つ、積極的に回復を図るために広葉樹を植えていく。その一つの方法である「蜜源の森」づくりを考える。

・今回の問題を通して、参加者の身近にどんな課題が見えてきたか

というテーマに関しては、報告はありませんでした。

他に話されたこととして:

・平地や都市部でミツバチを飼う楽しみやリスク

・東さんの退職後、日本ミツバチの飼育や給食への展開といった子どもたちへの教育が引き継がれていない現状

・養蜂に関心の強い参加者からハチミツの糖度や日本ミツバチの好む樹種など専門的な質問

・東さんが採蜜した日本ミツバチの蜂蜜を申し込んだ参加者からは、蜂蜜のおススメの食べ方の質問も。

日本ミツバチの話、森を初めとする神石高原町の未来の話になると止まらない東さんの熱い思いに刺激を受け、皆伐への関心、養蜂への興味を深めた参加者も多くいたようです。

〇神石高原日本ミツバチ研究所の様子

〇参考:過去の神石高原町での蜜源の森再生の取組の様子